事例判断:顧客情報から論点・制度・計算・提案根拠へ進む
顧客情報を、条件、相談目的、論点、計算、提案根拠の順に整理する基本手順を学びます。家族・収支・資産負債・保険・不動産・相続・事業の情報をどう読み取り、何を先に確認し、どのように提案へつなげるかを、実技に共通する視点で整理します。法定数値は受験日の法令基準日で確認する前提で、事実と結論を混ぜない考え方を固めます。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
顧客情報を条件、論点、制度、計算、提案根拠の順に整理できる。
- 家族・収支・資産負債などの情報を事実として分類できる。
- 相談目的に応じて優先すべき論点を選べる。
- 計算結果を提案根拠に言い換えて説明できる。
- 法令基準日で確認すべき事項を見分けられる。
要点
- 顧客情報は、推測ではなく確認できる事実から整理する。
- 制度や商品を考える前に、相談目的を一文で確定する。
- 論点は目的との関連が強いものから優先して選ぶ。
- 計算は前提条件を確認し、結果の意味まで言葉で説明する。
- 提案では結論だけでなく提案根拠を必ず示す。
判断のルール
- 事実と結論を混ぜず、まず情報を分解して記録する。
- 制度を当てる前に相談目的を確定する。
- 法定数値が関わる事項は受験日の法令基準日で確認する。
- 計算は与えられた条件だけを用い、検算まで行う。
- 提案は顧客情報と論点に結び付けて根拠を示す。
例題
例題1例題1 制度や方法の前に何を確定するか
相談者Aさんは、家族3人で暮らしており、毎月の家計はおおむね黒字です。預貯金もありますが、『将来が何となく不安なので見直したい』と言っています。この段階で、最初に優先して行うべきことは何でしょうか。①具体的な方法を一つ選ぶ ②相談目的を確認する ③すぐに計算を始める、のうちから選んでください。
答え②相談目的を確認する、が適切です。
考え方『将来が不安』という表現だけでは、教育資金、老後資金、保障の見直し、住まい、不動産、相続など、どのテーマが中心か分かりません。方法を選ぶ前に、何を解決したいのかを一文で確定する必要があります。相談目的が定まれば、見るべき顧客情報と論点が絞られ、必要な計算も明確になります。逆に、目的が曖昧なまま方法や計算に進むと、提案根拠が弱くなります。
確かめ不安や希望はそのまま結論にせず、まず目的を確認するという順番を押さえましょう。制度や方法は、その後です。
例題2例題2 収支と資産負債を簡単に比較する
Bさんの年間手取り収入は480万円、年間支出は420万円です。保有資産は預貯金700万円、不動産評価額1,800万円、負債は住宅ローン1,200万円です。このとき、①年間収支の差額 ②資産から負債を引いた差額を求め、家計の見方として最も自然な説明を答えてください。
答え①年間収支の差額は60万円の黒字です。②資産から負債を引いた差額は1,300万円です。したがって、現時点では年間収支は黒字で、資産全体で見ても負債を上回っています。
考え方年間収支は480万円−420万円で60万円です。資産合計は700万円+1,800万円で2,500万円、ここから負債1,200万円を引くと1,300万円です。事例判断では、この数字を出して終わりではなく、『家計が赤字か黒字か』『資産と負債の関係はどうか』と意味づけして述べることが重要です。今回は、収支は黒字、純資産もプラスと整理できます。
確かめ収支と資産負債は別の視点です。年間の流れと、時点の残高を混同しないようにしましょう。
例題3例題3 事実と評価を混同しない確認
Cさんについて、次のうち『事実』として整理すべきものはどれでしょうか。①住宅ローン残高が800万円ある ②返済負担が重すぎる ③保障が明らかに不足している、の中から選び、ほかの選択肢がなぜそのままでは使いにくいかも説明してください。
答え事実として整理すべきなのは①住宅ローン残高が800万円ある、です。
考え方①は確認可能な数値を含む客観的な情報であり、顧客情報としてそのまま記録できます。一方、②の『重すぎる』は評価であり、収入、年間返済額、生活費などの事実がそろって初めて判断できます。③の『明らかに不足している』も同様で、家族構成、必要保障の考え方、現在の契約内容などの事実を確認しなければ断定できません。事例判断では、まず事実を置き、その後に評価へ進みます。
確かめ『ある・ない』『いくら・何人』は事実になりやすく、『重い・足りない』は評価になりやすいと覚えると整理しやすくなります。
よくある間違い
顧客の不安や希望を、そのまま事実と扱ってしまう。
相談目的が曖昧なまま、先に制度や方法を選んでしまう。
論点を広げすぎて、目的と関係の薄い話まで含めてしまう。
計算だけして満足し、その数字が何を意味するか説明しない。
提案を述べても、どの顧客情報に基づくかを示していない。
この講の用語
- 顧客情報こきゃくじょうほう
- 相談者や家族の状況、収支、資産、負債、保険、不動産、相続、事業などに関する事実の情報です。判断の出発点になります。
- 相談目的そうだんもくてき
- 相談者が何を解決したいのかという到達点です。目的が定まると、見るべき論点や必要な計算が決まります。
- 論点ろんてん
- 相談目的を達成するために、確認や判断が必要になる着眼点です。家計、保障、資産負債、不動産、相続などが含まれます。
- 提案根拠ていあんこんきょ
- なぜその提案が妥当といえるのかを示す理由です。顧客情報、論点、計算結果に基づいて説明します。
- 法令基準日ほうれいきじゅんび
- 試験で法令や制度の内容を判断する基準となる日です。金額や期限などは受験日の基準で確認します。
章立て
- 0:00導入この講でできるようになる判断を確認します。
- 0:32中心概念家族・収支・資産負債・保険・不動産・相続・事業の情報整理、論点選択、計算検算、提案根拠。
- 1:31重要用語顧客情報、相談目的、論点、提案根拠、法令基準日
- 2:25基本ルール事実と結論を混ぜず、まず情報を分解して記録する。 制度を当てる前に相談目的を確定する。 法定数値が関わる事項は受験日の法令基準日で確認する。 計算は与えられた条件だけを用い、検算まで行う。 提案は顧客情報と論点に結び付けて根拠を示す。
- 2:57判断手順条件を確認し、分野を特定し、制度・計算を照合してから結論を選びます。
- 3:41確認ケース1相談者Aさんは、家族3人で暮らしており、毎月の家計はおおむね黒字です。預貯金もありますが、『将来が何となく不安なので見直したい』と言っています。この段階で、最初に優先して行うべきことは何でしょうか。①具体的な方法を一つ選ぶ ②相談目的を確認する ③すぐに計算を始める、のうちから選んでください。
- 4:12確認ケース2Bさんの年間手取り収入は480万円、年間支出は420万円です。保有資産は預貯金700万円、不動産評価額1,800万円、負債は住宅ローン1,200万円です。このとき、①年間収支の差額 ②資産から負債を引いた差額を求め、家計の見方として最も自然な説明を答えてください。
- 5:38確認ケース3Cさんについて、次のうち『事実』として整理すべきものはどれでしょうか。①住宅ローン残高が800万円ある ②返済負担が重すぎる ③保障が明らかに不足している、の中から選び、ほかの選択肢がなぜそのままでは使いにくいかも説明してください。
- 7:04よくある誤り顧客の不安や希望を、そのまま事実と扱ってしまう。 相談目的が曖昧なまま、先に制度や方法を選んでしまう。 論点を広げすぎて、目的と関係の薄い話まで含めてしまう。 計算だけして満足し、その数字が何を意味するか説明しない。 提案を述べても、どの顧客情報に基づくかを示していない。
- 8:32まとめ事例判断では、顧客情報を事実として整理し、相談目的を先に確定し、その目的に合う論点を選びます。必要な計算は前提条件を確認しながら行い、結果の意味を言葉で説明します。最後に、結論だけでなく提案根拠まで一貫して示すことが重要です。法定数値が関わる内容は、受験日の法令基準日で確認する姿勢を忘れないようにしましょう。
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