事業承継・会社と経営:株式、資金、後継者を分けて整理する
事業承継を、株式、資金、後継者、経営の四つの論点に分けて整理します。会社の所有と経営の違い、自社株式の意味、後継者選定の考え方、承継資金の確認方法を学び、関連制度は受験日の法令基準日で確認する前提で位置づけを押さえます。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
事業承継を株式、資金、後継者、経営の四つの論点に分けて考えられる。
- 会社の所有と経営の違いを説明できる。
- 自社株式が経営の安定に関わる理由を理解する。
- 後継者の問題と資金の問題を切り離さずに考えられる。
要点
- 事業承継は株式、資金、後継者、経営の四つに分けて整理する。
- 会社の所有者と経営者は同じとは限らない。
- 自社株式の承継は会社の支配や安定に影響する。
- 後継者がいても、株式や資金の準備が不十分なら円滑な承継になりにくい。
判断のルール
- 所有と経営を分けて考える。
- 後継者・株式・資金を同時に確認する。
- 制度の細かな数値や期限は受験日の法令基準日で確認する。
- 承継の判断は承継後の経営継続まで含めて行う。
例題
例題1例題1 制度・商品の判断
A社では、現社長が会社の株式の大半を持ち、日々の経営も行っています。後継者として長年勤務している長女に社長職を引き継ぐ予定ですが、株式はまだ現社長のままです。この時点で、事業承継の整理として最も適切な考え方はどれですか。①経営者が決まったので承継はほぼ完了している ②後継者が決まっていても、株式と資金の確認が必要である ③株式は財産の話なので経営とは切り離してよい
答え②後継者が決まっていても、株式と資金の確認が必要である。
考え方事業承継は後継者だけでなく、株式、資金、経営の四つの論点で考えます。長女が社長になる予定でも、現社長が自社株式を持ったままであれば、所有の承継は別途検討が必要です。また、承継に伴う資金準備も確認しなければ、円滑な承継とはいえません。したがって、経営者が決まっただけで完了とする①は不適切で、株式を経営と無関係とする③も誤りです。
確かめ社長の交代と株式の承継を同じものと考えていないかを確認しましょう。所有と経営は分けて整理します。
例題2例題2 簡単な計算または比較
B社の株式は全部で100株です。現社長が60株、長男が20株、長女が20株を持っています。後継者は長男です。長男が現社長から30株を引き継いだ場合、長男の保有株数は何株になり、現社長と比べてどちらが多くなりますか。
答え長男の保有株数は50株になり、現社長は30株になるので、長男のほうが多くなります。
考え方長男はもともと20株を保有しています。ここに現社長から30株を引き継ぐので、20株+30株=50株です。一方、現社長は60株から30株を移すため、60株−30株=30株になります。株式数の比較では、長男50株、現社長30株ですから、長男のほうが多くなります。この問題では細かな制度ではなく、後継者にどの程度株式が移るかを確認する練習です。
確かめ計算自体は単純でも、何を比べるかが大切です。後継者に経営を任せるなら、株式の移り方も確認する視点を持ちましょう。
例題3例題3 誤りやすい条件確認
C社では、後継者候補が社内にいて、業務経験も十分です。しかし、承継後に必要となる資金の見通しは立っておらず、株式を誰にどう引き継ぐかも未整理です。この状況について、『後継者候補がいるので事業承継の準備としては十分である』という説明は正しいですか。
答え正しくありません。
考え方事業承継は、後継者の有無だけで判断しません。後継者がいても、株式の承継方法が未整理であれば所有面の課題が残り、必要資金の見通しが立っていなければ承継後の経営安定にも不安が残ります。つまり、人の準備が進んでいても、株式と資金の準備が整っていなければ、十分な承継準備とはいえません。四つの論点を同時に見る必要があります。
確かめ『後継者がいるか』だけで安心していないかを確認しましょう。株式、資金、経営の視点も必ず合わせて見ます。
よくある間違い
社長が変われば事業承継は完了したと考えてしまう。
自社株式を単なる財産としてしか見ず、経営への影響を見落とす。
後継者が決まっていることと、承継準備が整っていることを同じと考える。
資金問題を相続だけの話と考え、承継後の経営資金を見落とす。
この講の用語
- 事業承継じぎょうしょうけい
- 会社や事業を次の担い手へ引き継ぐこと。人、財産、経営の仕組みを含めて考える。
- 自社株式じしゃかぶしき
- その会社の株式のこと。誰が持つかによって、会社の所有や支配に影響する。
- 後継者こうけいしゃ
- 将来、会社や事業の経営を引き継ぐ人。経営能力や継続性の視点が重要となる。
- 会社法かいしゃほう
- 会社の仕組みや株式などに関する基本的なルールを定める法律。
章立て
- 0:00導入この講でできるようになる判断を確認します。
- 0:29中心概念会社の仕組み、株式、事業承継、後継者、資金と経営。
- 1:22重要用語事業承継、自社株式、後継者、会社法
- 2:14基本ルール所有と経営を分けて考える。 後継者・株式・資金を同時に確認する。 制度の細かな数値や期限は受験日の法令基準日で確認する。 承継の判断は承継後の経営継続まで含めて行う。
- 2:47判断手順条件を確認し、分野を特定し、制度・計算を照合してから結論を選びます。
- 3:31確認ケース1A社では、現社長が会社の株式の大半を持ち、日々の経営も行っています。後継者として長年勤務している長女に社長職を引き継ぐ予定ですが、株式はまだ現社長のままです。この時点で、事業承継の整理として最も適切な考え方はどれですか。①経営者が決まったので承継はほぼ完了している ②後継者が決まっていても、株式と資金の確認が必要である ③株式は財産の話なので経営とは切り離してよい
- 4:01確認ケース2B社の株式は全部で100株です。現社長が60株、長男が20株、長女が20株を持っています。後継者は長男です。長男が現社長から30株を引き継いだ場合、長男の保有株数は何株になり、現社長と比べてどちらが多くなりますか。
- 5:38確認ケース3C社では、後継者候補が社内にいて、業務経験も十分です。しかし、承継後に必要となる資金の見通しは立っておらず、株式を誰にどう引き継ぐかも未整理です。この状況について、『後継者候補がいるので事業承継の準備としては十分である』という説明は正しいですか。
- 6:58よくある誤り社長が変われば事業承継は完了したと考えてしまう。 自社株式を単なる財産としてしか見ず、経営への影響を見落とす。 後継者が決まっていることと、承継準備が整っていることを同じと考える。 資金問題を相続だけの話と考え、承継後の経営資金を見落とす。
- 8:13まとめ事業承継は、株式、資金、後継者、経営の四つの論点を切り分けて考えることが基本です。特に、会社の所有と経営を分けて理解し、自社株式の承継が経営の安定に関わる点を押さえることが重要です。後継者の選定、資金の準備、経営の継続性を同時に確認し、制度の詳細は受験日の法令基準日で確認しましょう。
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